Overview
ISBは、『アンドー』に映る帝国保安局の様式である。核となるイメージは無彩色の連続階調で語る官僚制建築。会議室や聴聞室のような儀礼の空間は、白灰のファセット(三角形の低浮彫)を稀少な仕上げとして持つ明るいモノリスであり、制服の白い人間までもがその表面の一部になる。一方、監視室やワークステーション区画のような実務の空間は、チャコール〜黒がほぼ全面を占め、白は輪郭を締める細い縁光としてのみ現れる。データは暗端の中で琥珀に微光し、警告は赤い点として刺さる。
kuat-sienar(軍・艦載)が「統治の精度の誇示」なら、ISBは監視官僚制の大聖堂である。装飾はなく、しかし貧相でもない — 幾何学の反復そのものが権威を語る。温かみは存在しない。柔らかさも存在しない。硬質、清潔、完全。
この様式の洗練は「引き算」から生まれる。 ファセット浮彫は聴聞室の壁のような特別な瞬間にのみ、ごく控えめに現れる仕上げであり、画面を埋め尽くす繰り返し柄ではない。素面の無地こそが基本であること。同様に、白が常に主役とは限らない — 監視室やワークステーション区画はチャコール〜黒がほぼ全面を占め、白は輪郭を締める細い縁光としてのみ現れる。どちらの明暗に振るかは空間の格で選び、グレースケールの階調で語る(白か黒かの二択ではない)。この引き算と諧調の精度こそが「一昔前のジオメトリック背景パターン」から遠ざける唯一の道である。
Colors
パレットは「white→lacquerの連続した無彩色の階調 + 微小な信号」。5色の無彩色トークンは離散した2色(白/黒)ではなく、ひとつづきの明度スケールとして扱う。
- white (#EDEEF0) → white-shadow (#CDD0D4) → grey (#9BA0A6) → glass (#3C4046) → lacquer (#0B0C0E): 明から暗への連続階調。冷たい中性色(温かみのある骨白・クリームは誤り)。
空間の格で、この階調のどこを主役にするかが決まる(2レジスタ):
- 儀礼レジスタ(会議室、聴聞室前室): white / white-shadow が支配的。lacquerは家具・スクリーン筐体としてごく少量、硬い塊として置かれる。
- 実務レジスタ(監視室、ワークステーション区画): glass / lacquer が支配的。white は縁を締める細い輪郭線(edge-light)としてのみ現れる — 面としては使わない。
どちらのレジスタでも、使う階調は隣接する2〜3段に絞る(whiteといきなりlacquerを同じ画面で同格に対比させない)。段を飛ばさず滑らかに移行することが「洗練」であり、極端な白黒二値は素人っぽさの原因になる。
- data-amber (#E8A33C): データの琥珀。暗い面(glass/lacquer)の中の小さな読み出しにのみ。
- signal-red (#D93A2B): 警告・稼働中の赤い点。ドット単位で使う。
- cog-grey (#85888C): アイドル画面の帝国コグ。glass面に低コントラストで。
明るい面の上に彩色を置かない — 色(琥珀・赤)は必ず glass・lacquer などスケールの暗端の中に封じられる。
Typography
- コンデンス大文字・極広トラッキング、ウェイトはやや強め(500)— 硬質な刻印。
- 明るい面の上の文字は grey/lacquer の無彩色のみ。暗い面の上の文字は white/grey。彩色文字(琥珀)は暗端の中だけ。
- 数値は等幅で少量。台帳は疎ら(数行、広い行間)— 情報を出し惜しむ者が情報を持つ者である。
- オーレベッシュは銘板・部署コードとして少量。
Layout
- 円環と放射が第一幾何。 円環のテーブル、扇形の座席、放射状の天井ルーバー。ISBの部屋は円と放射でできており、直交グリッドは従属的。
- レジスタごとに地と図が反転する。 儀礼レジスタでは明るい面が地、lacquerの塊が図。実務レジスタではglass/lacquerが地、edge-lightで縁取られた要素が図。1つの画面内でレジスタを混在させない。
- 対称・求心的な構図。中心に向かって権力が集まる部屋の構造をそのまま使う。
- 余白は無地であることが基本。 テクスチャ(facet-wall)は例外的なごちそうであり、常時働いているものではない。空白を埋めたくなったら、まず「本当に埋める必要があるか」を疑う。
Elevation & Depth
- 深度は諧調の推移。 明暗スケールを隣接ステップで移行させることで浅い立体感を作る(whiteからwhite-shadowへ、glassからlacquerへ)。段を飛ばした急な明暗差は使わない。
- 黒い塊はedge-lightで締める。 lacquer/glassの暗い塊は、縁に沿った細い白/grey の輪郭線(edge-light)でシルエットを明確にする。ソフトなグローや周辺減光ではなく、精密な1本の線であること — これが「しまった黒」を作る唯一の方法。
- 黒漆の面は鏡面反射(微かなハイライト)を持つ。
- 発光・グローは存在しない。 琥珀のデータも「点灯」であって「発光」ではない — 滲まない。
- 儀礼レジスタでは天井のサンバースト(放射ルーバー、1空間に1基のみ)が光源。実務レジスタは環境光が冷たく低く、光源は画面内に写り込まない。
Shapes
- 鋭い直線と完全な円環。 角丸なし。曲線は円環と放射にのみ許される。
- ファセット(三角形の低浮彫)は稀少な署名要素。 コントラストは低く(隣接する2階調のみ)、スケールは細かく、儀礼レジスタの特定の壁面1箇所程度に留める。画面全体のタイル壁紙にしない — それは幾何学模様の背景パターンであり、この様式の無機質さを損なう。
- 放射ルーバー(sunburst-crown): 48枚以上の白い羽根が環状に並ぶ王冠。1構成に1基のみの実際の照明器具として扱う。反復する装飾モチーフではない。
- 黒漆の塊は台形・帯・円弧 — 常にハードエッジ、常にedge-lightで縁取る。
- 装飾的な切り欠き・ブラケット・チャンファーは一切ない。
Components
- facet-wall: 三角形低浮彫の白灰テクスチャ。低コントラスト・細かいスケール・稀少使用(1画面に多くて1箇所、儀礼レジスタの壁面のみ)。ページ全体の地には使わない。
- sunburst-crown: 放射状ルーバーの環。1構成に1基、実在の照明器具として。見出し・中心要素の背後に象徴的に使うのは可だが複数配置しない。
- edge-light: 暗い塊の輪郭を締める細い白/grey の一本線。ソフトなグローの代替であり、精密さの担保。
- lacquer-inlay: 黒漆のスラブ。ハードエッジ、微かな鏡面、edge-light併用。スクリーン・データ・操作系はすべてこの中に象嵌される。
- cog-idle: glass面のコグ透かし。無操作のスクリーンの標準状態。
- indicator-dots: 琥珀・赤の微小ドット列。黒漆の縁に沿って疎らに。
- ring-layout: 円環+放射の構図テンプレート。中央に主題、環状に従属要素。
- data-ledger: 黒漆内の琥珀の台帳。数行・広い行間・滲まない点灯。
- データ表示(チャート): 黒漆の中でも「彩色は点」を守る — 柱はglassの灰、琥珀は値ラベル・現在値マーカーの点にのみ。琥珀の大きな塗り面はこの様式の禁欲を壊す。可能なら円環・放射(リング進捗、扇形配分)を優先する。
Do's and Don'ts
Do:
- 明暗スケールを隣接ステップで使い、儀礼/実務のレジスタで主役の階調を切り替える
- ファセットは稀少・低コントラストな署名要素として、多くて1画面1箇所に留める
- 黒い塊はedge-light(細い一本線)で締める — ソフトなグローではなく精密な輪郭で
- 円環と放射で構図を組む
- 彩色(琥珀・赤)は暗端の中に封じ、点として使う
Don't:
- 温かい白(クリーム・ボーン)にしない — 冷たい中性の無彩色であること
- ファセットや幾何学模様を画面全体のタイル壁紙・背景パターンにしない(それは量産テンプレートの意匠であり、この様式の無機質な洗練を壊す)
- 白と黒をいきなり同格に対比させない(段を飛ばした二値化は素人っぽさの原因)
- 発光・グロー・滲みを使わない(点灯はするが発光はしない)
- 明るい面の上に彩色を直接置かない
- 角丸・チャンファー・装飾切り欠きを使わない
- レジスタを混同しない — 儀礼レジスタで黒を主役にしない、実務レジスタで白を面として広げない(実務空間ではglass/lacquerが多数派で正しい)